だいぶまえの年始4

~だいぶまえの年始4~

昨日は会社での作業が出来なかったので、改めてと思っていたが、妻の送迎や、ランドリーや、片付けをしていたら夕方になってしまい、会社どころか電車に間に合うかどうかという時間になってしまった。
名鉄で人身事故の情報があり、JRで向かうことにしたが、休日のせいか、乗り換え客の影響か、社内は混雑している。
近くにいる子供に、なんとなく目がいき、自分が子供に目がいくようになった事に気付く。
それは、今日のような険しい気分だったせいかもしれないし、自分の中で子供に対する気持ちが芽生えてきているせいかもしれない。
すでに感傷的な感じになってきている自分を意識しながら、電車はなんとか間に合いそうな時間に駅に着いた。
とりあえずコーヒーを飲みながら、歩きよりも路面電車の方が早い気がして路線を調べる。
葬儀場の近くに停車場があり、興味もあいまって、路面電車を選択。
そして、大いに後悔する。
とにかく遅い。
そして、信号と停車場で停まる機会が多い。
後戻り出来ないところまで来て、急速に焦りと、自己嫌悪が心を駆り立てた。
また、やった。
こういう時の焦っている自分は本当に嫌だ。
でも、どうせまたやるんだろ。
どうせ今だけ。
自作自演の逃避だ。
どこまでも、自分を保護するために怒りを費やす、むなしいサイクル。
そんな息苦しい自己嫌悪から逃げるように、停車場から葬儀場へと急いだ。

会場が狭いのか、人が多いのか2階の会場へ入るのを待つ人で、入口までいっぱいだった。
受付で営業所の人に挨拶をするが、上手く言葉が出てこない。
2階へ上がると、やはり人がいっぱい。
故人の歳が若いせいか、お通夜に訪れる人の数が多いようだ。

お通夜が終わって、その後どうしたかあまり覚えていない。
広い座敷で、子供達が大はしゃぎしていた事と、帰りは車で送ってもらった事は覚えている。
なんだか、いつの間にか、その日が終わった。