だいぶまえの電車の先

~だいぶまえの電車の先~

電車で、赤い髪の、女の子と女性の中間くらいの人が乗ってきた。
電車の中で電話をして、ガチャガチャと化粧をしている。
クレンジングが床に落ちて、それを誰かが拾ってくれるが、お礼も言わない。
やがて、乗換駅で降りていったが、自分が隣だったらなんて声をかけたらいいだろうか。
ズバッと言うわけもなく、かといって中間の程よい言い方もわからない。
こういう、物言わぬ大人が世の中に増えたと感じるのは、実は自分への不満につながっているのかもしれない。
宇宙飛行から帰ってくる山崎さんの記事が、金山駅の文字ニュースに流れている。
赤い髪の彼女が、宇宙飛行士の夢を見たりすることがあるのだろうか。
自分の延長線上に、宇宙空間で遊泳する自分がいることもあると思う日がくるのだろうか。