だいぶまえの揺れ

~だいぶまえの揺れ~

会社の3階で過去の案件を調べている時だった。
なんとなく立ち眩みのような感覚を感じる。
、、が、次第に、自分ではなく、建物の揺れだという事に気付いた。
また、電車が通過したのかと思ったが、すこし感じが違う。
これは、地震だ。
気持ち悪いくらい、会社が柔らかく揺れている。
なかなか揺れが収まらず、だんだん気持ちが悪くなってきた。
こういう時、そのままこの場所にいた方がいいのか、外へ出た方がいいのか、わからなくなってくる。
ただ、前日のニュージーランド地震のイメージが残っているせいか、建物の中にいる不安の方が大きく、2階に降りて他の人たちに声をかけた。
「外へ出ませんか」
2階から1階へ降りて外へ出る。
この短い間も、もしかして途中で何かが、、という不安がよぎったが、勢いに任せて外へ出ると、同じように隣の会社の女性が出てきたところだった。
まだ続いている揺れに、気分が悪くなりながら、改めて外にも気を付けるものが多い事を教えられる。
電柱や目の前の社屋、気になり出したら止まらない。
自分の判断は正しかったのだろうか。
もし1階に降りた時に、2階の薄い床が落ちてきたらと思うと、背筋が凍った。
14時46分。
東北沖を震源とする、大地震だった。