いつかの那覇ぶら3
〜いつかの那覇ぶら3〜
旅は匂いとの巡り会いでもある。
空港のロビー、空港のトイレ、ゆいレールの車内、駅でドアが開くたびに、入ってくる外気。
歩く度、止まる度に違う匂いがやってくる。
そして、朝にはまた別の匂いが。
朝ホテルを出た瞬間からゆるい匂いが通りを包んでいる。
夜の片付けの匂い、朝ごはんの匂い、お昼の準備の匂いが、数歩進むごとに入れ替わりに入り込んできた。
その匂いが気持ちを広げ、気持ちが景色を広げる。
自然と歩みがゆっくりになり、小さな花や小道に気になり始めた。
気になる小道の先に進むと黒い猫と遭遇。
お互い「あ、」という顔になり、向こうが少し後ずさる。
ごめんよ。ちょっと通らせておくれ。
猫の脇を抜けると、また新たな分かれ道が現れた。
なんだか楽しく迷い始めたぞ。
ふと、coffeeの文字が見える。
街中にカフェが無い、なんて思っていたけど、結局、街の匂いからカフェに行き着いた。