だいぶまえの結婚式と熱海①

~だいぶまえの結婚式と熱海①~

学生時代の後輩に結婚式の受付を頼まれ、栄に向かうが、妻の靴がきついらしく、オアシスで新しい靴を買うことにした。
服が汚れないようにと昼食はお寿司を食べ、妻がメイクと髪を整えに行っている間、アルアビスで一服。
この時点で既にズボンがしまり気味。
きついズボン、コーヒー、受付の緊張、お腹に良くないものばかりだ。
メイクを済ませてきた妻が、またしても困り顔で帰って来た。
メイクが濃くてマダムみたいになってしまった。
お店にお願いすると、いつも濃いめにされる傾向がある。
なぜそうなるのか。
可愛くというよりは、落ち着いた感じというとマダムということになるのだろうか。
どこかで何かが互いに足りなくて、そこに辿り着いているようにも思える。
そんな妻をなだめつつ会場へ向かうことに。
途中タクシーが道を間違えたが、無事到着。
受付が始まる前に、妻はメイクを少しでも落とそうと化粧室へ駆け込んだ。
席次表を見ると、意外と知り合いがいない。
わかるのは二人くらいか。
他は後輩の高校時代の友人やゴスペル仲間が中心で、逆に自分達でよかったのかという思いが沸き立つ。
だから余計に受付は気が抜けない。
いいのか、悪いのかわからない接客で、あっという間に受付は終了。
まあ、よしとしよう。
ご祝儀を乾杯の時まで保管していてくださいと言われ、まだまだ緊張は続く。
挨拶が始まると、今までの経験上ふられるのではないかという不安が始まり、挨拶がひとつひとつ終わる毎に、ひとつひとつ緊張がほどけてゆく。
そして、饒舌な挨拶を見ながら、自分の過去の乾杯の音頭がフラッシュバックする。
最初の挨拶をちゃんとやり通していたら、重苦しいものにはならなかったなだろうか。
一回ダメだと思った事を何度も繰り返して勝手に重苦しくしてしまうのは、自分の癖だ。
同じことが仕事にも言える。
過去のスタートばかりが思い出されて前を向けない。
前を向いて何を発したらいい?
抱え込む憂鬱は案外同じような理由だ。
5年以上たっても、そこはあまり直っていない。
こうして書いてみて、改めて過剰にひきずっている感もある。
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そんなウダウダをよそに、式は円満に終了。
二人の母親は、それぞれに家族像がありそうだったが、本人達がそれに対して少し客観的で、二人のバランスがしっかりしているので、あまり気にすることではない気がした。
終盤、きついスーツとお酒と食べ過ぎで、案の定トイレで長期戦。
無駄なウダウダもあいまって、二人への挨拶もろくにせず、次の目的地、熱海へ向かった。

駅員に渋々通されて、ギリギリで飛び乗った新幹線は、21:30に熱海に到着。
先に車で来ていた家族と合流を果たした。
荷物を部屋に置いて、魚が食べられるお店を探して坂を下るが、意外にラーメン屋くらいしか空いていない。
予想外の活気のなさだ。
結局タクシーで上まで戻り、なんだかんだで素材屋でおさまってしまった。
バカンス気分のないおつまみでビールをあおりながら、熱海の夜は終了。
屋上から見た星は名古屋より綺麗だったが、地の魚はほとんど食べられず、その事を一月たったあとも妻は悔やんでいた。