だいぶまえの入院2

~だいぶまえの入院2~

大きくなってから初めての入院は、ただ寝て、絶食なので水だけを飲んで、また寝るの繰り返し。
時折、点滴をつけながら、ゴロゴロとトイレへ行き、尿瓶で尿をとり、専用の場所へ流し、尿瓶を洗って、手を洗って病室に戻る。
この動きが加わるだけだ。
何も入れない、何もしない生活をというのも、それなりに意義は感じられる。
そして、何もしなくても結構眠れるものだということも。

翌日、朝6時頃に目が覚める。
少しじっとりする気がする。
絶食がいつまで続くかわからないが、とにかく歯を磨いてすっきりしてまた床につくと、
「ご飯食べられますか?」
と聞かれて思わず、ハイと答えると朝食がやってきた。
なんだ、食べていいのか。
中一日ぶりの食事は、ご飯と味噌汁に、福神漬けを細かく刻んだものが少々と、海苔の佃煮が一袋。
なかなかご飯が減らないメニューだ。
普段がいかにバラエティーに富んだものを食べているかということに気づかされる。
やることがないので、雑誌を見てまた寝ていると、両親がお見舞いにきてくれて、妻と一緒に待合室で話すことに。
始めは病状の話をしていたが、次第に初盆の話になり、おじさんの話になる。
本来なら今日は初盆になると思っていたが、どうやら向こうの都合でそうはならなかったようだ。
何もない時間に、また少しづつ日常が流れてきた。