いつかの江の島

~いつかの江の島~

いつかの友人もこんな思いをしたんだろうか。
江ノ電に揺られながら、ゆらゆらと思いがたちのぼる。

思う通りに進まない。
自由度が高くても進めないから、ある程度こちらで決めてやることにしたが、余計に心を停滞させてしまうだけのような虚しさがこみ上げてくる。
この先に、やる気に満ちた未来があるかは、よくわからない。
そもそも、そのやり方では未来がないのか、いい未来を思い描けない自分のせいなのか。
お互いが、この状況にもやもやを抱えながら、自分ではない誰かに変えてもらいたがっている。
繕った笑顔が室内に立ち込めて息苦しい。
結局進むだけなのに、目の前の誰かじゃなく、「どうせこうなるんだろう」誰かにとらわれて進めない。

店が閉まり始めた江ノ島周辺を歩きまわっていると、少しづつ堂々巡りが薄れてゆく。
そんなに頭の言うことばかり聞かなくてもいいだろう。
ただ、目の前の一歩を進む。
それだけで十分のはずだ。