まえがきのまえがき ~だいぶ前の停車駅~

~だいぶ前の停車駅~

なんとか乗り込んだ終電でドア付近に立っている。各駅で停まる度に3月の少し冷えた静寂が外から流れてきた。
張りつめた冬の空気だけが聞こえて、少し気分が落ち着く。
そして、だだっ広い静寂の中を、車掌の笛が高らかに駆け抜けた。
家まではもう少し。